小林正樹監督の「人間の条件」「切腹」をはじめ、黒澤明監督の「用心棒」「椿三十郎」「影武者」「乱」、山本薩夫監督の「華麗なる一族」「金環食」「不毛地帯」まで。

切腹 (1962) : Harakiri

サンデー毎日大衆文芸賞入選作として、昭和三十三年十月号の同誌上に発表された滝口康彦原作「異聞浪人記」より橋本忍が脚色、小林正樹が監督した異色時代劇。撮影は宮島義男。

監督:小林正樹
出演:仲代達矢、石浜朗、岩下志麻、稲葉義男、三國連太郎、三島雅夫、丹波哲郎、中谷一郎、青木義朗、井川比佐志、井川比佐志

切腹 (1962)のストーリー

寛永七年十月、井伊家上屋敷に津雲半四郎(仲代達矢)と名乗る浪人が訪れた。「切腹のためにお庭拝借……」との申し出を受けた家老斎藤勘解由(三國連太郎)は、春先、同じ用件で来た千々岩求女(石浜朗)なる者の話をした。窮迫した浪人者が切腹すると称してなにがしかの金品を得て帰る最近の流行を苦々しく思っていた勘解由が、切腹の場をしつらえてやると求女は「一両日待ってくれ」と狼狽したばかりか、刀は竹光を差しているていたらくで舌かみ切って無惨な最後をとげたと--。静かに聞き終った半四郎が語りだした。求女とは半四郎の娘美保(岩下志麻)の婿で、主君に殉死した親友の忘れ形見でもあった。孫も生れささやかながら幸せな日が続いていた矢先、美保が胸を病み孫が高熱を出した。赤貧洗うが如き浪人生活で薬を買う金もなく、思い余った求女が先ほどの行動となったのだ。そんな求女にせめて待たねばならぬ理由ぐらい聞いてやるいたわりはなかったのか。武士の面目などとは表面だけを飾るもの……。半四郎は厳しく詰め寄った。そして、井伊家の武男の家風を誇って威丈高の勘解由に、半四郎はやおら懐中より髷を三つ取り出した。沢潟彦九郎(丹波哲郎)、矢崎隼人(中谷一郎)、川辺右馬之介(青木義朗)、髪についた名の三人は求女に切腹を強要した者たちで、さきほど半四郎が介錯を頼んだ際、病気と称して現れなかった井伊家きっての剣客たちである。隼人、右馬之介はたった一太刀、神道無念一流の達人彦九郎だけは数合刀を合わせたものの、十七年ぶりに刀を抜いた半四郎の敵ではなかった。高々とあざけり笑う半四郎に家臣達が殺倒した。荒れ狂う半四郎は井伊家先代の鎧兜を蹴倒し、数人を斬り倒して種ヶ島に打取られた。半四郎は切腹、自刃した彦九郎や斬殺された者はいづれも病死という勘解由の処置で、井伊家の武勇は以前にもまして江戸中に響き老中よりも賞讃の言葉があった。

Related posts

  1. 人間の條件 第三部 望郷篇 (1959)

  2. いのち・ぼうにふろう (1971) : Inn of Evil

  3. 人間の條件 第五部 死の脱出篇 (1961)

  4. 怪談 (1964) : Kwaidan

  5. 人間の條件 第四部 戦雲篇 (1959)

  6. 人間の條件 第六部 曠野の彷徨篇 (1961)